近頃、暗号資産界隈ではステーキングというワードをよく聞くようになりました。コインチェックが2020121日より暗号資産リスク(LSK)のステーキングサービスを始めたことから、さらに注目を浴びています。

 

ステーキングサービスとは、簡単に説明すると対象となる暗号資産を保有することで、報酬を得ることができるサービスです。ステーキングサービスの仕組みには、これもザックリですが暗号資産を形成するブロックチェーン技術のコンセンサス(合意形成)・アルゴリズムが関係しています。

 

ステーキングサービスが可能な暗号資産には、主にPoSProof of Stake)およびPoSに類似するコンセンサス・アルゴリズムが採用されています。ちなみにコンセンサス・アルゴリズムというのは、暗号資産の取引が記録された新たなブロックがブロックチェーンに追加される際の合意形成ルールです。

 

PoSPoWの違い

さまざまな暗号資産が発行されている現在は、多数のコンセンサス・アルゴリズムが存在しますが、最も有名なのは、世界初のブロックチェーンかつ世界初の暗号資産ビットコイン(BTC)に採用されているPoWProof of Work)です。PoSを始め、その他のコンセンサス・アルゴリズムは、PoWが抱えている課題を解決するために誕生したともいえます。

 

ビットコイン(BTC)のPoWでは、マイニングという方法で新しいブロックを生成できる権限を得て、承認作業を行うことができる承認者(マイナー)を決定します。マイナーは、新たに発行されるビットコイン(BTC)を報酬として受け取ることができます。この仕組みを利用し、ビットコイン(BTC)は、我先にとマイニングをするマイナーを確保し、分散化された非中央集権型のエコシステムを形成しています。

 

しかしながらマイニングは、計算機による膨大な計算量を要するため、時間と大量の電力を消費します。よってコスト高となり手数料も高いものになってしまうデメリットがあります。また、計算能力が高いマイナーが有利になることから、マイナーを束ねるマイニングプールなど、さまざまな手法が誕生し、マイニングの中央集権化による企業支配の傾向が見られるようになってしまいました。現在は、ほぼ個人のマイナーは太刀打ちできない状況にあります。

 

PoSの特徴

そこで新たに誕生したコンセンサス・アルゴリズムのひとつがPoSです。

 

PoSは、合意形成ルールに計算する工程がありません。PoSでは、PoSを採用する暗号資産の保有量や保有期間の長さをひとつの価値とし、その割合(Stake)によってブロックを生成できる権限が与えられ、承認作業を行うことができる承認者(バリデーター)を決定します。

 

PoSもまた、承認者が報酬を得ることができます。この仕組みを、ステーキングといいます。簡単にいうと、PoSの承認者は、株式会社における株主のような存在で、報酬は配当金に近いものになります。PoSのメリットは、大量に電力を消費することがありません。そのため、マイニングコストも低く、手数料も安く抑えられます。PoWと比べると、個人でもマイナー(バリデーター)になることができる可能性も高いといえるでしょう。

 

しかし、PoSにもデメリットはあります。それは、ステーキングのために大勢の人が暗号資産をため込んでしまう傾向にあるため、市場における暗号資産の流動性が損なわれるという大きな問題があります。解決作として、PoSの暗号資産保有ルールに一定期間保有していた暗号資産は保有量から省くなどがありますが、よりルールが複雑化することは否めません。

 

ステーキングによって、多くの人が報酬を得られるということもあり、PoSは将来性のあるコンセンサス・アルゴリズムのひとつとして評価されることもありますが、現在、PoSを採用する暗号資産がまだ少ないというのが現実です。まもなくイーサリアム(ETH)がバージョン2.0にてPoSに移行することを表明しているように、今後はその他の暗号資産もPoWからPoSに移行する可能性もないとはいえません。要注目の話題です。

 

コインチェックのステーキングサービスへの期待

ちなみに、コインチェックが提供するステーキングサービス採用の暗号資産リスク(LSK)は、PoSから派生したDPoSDelegated Proof of Stake)というコンセンサス・アルゴリズムを採用しています。

 

DPoSは、保有量に比例した投票権により、ブロックチェーンのブロック生成者を選定する仕組みを持ちます。投票したブロック生成者の当落と投票数に応じて投票者へブロック生成報酬が分配される仕組みです。

 

コインチェックのサービスは、口座内に一定額以上のリスク(LSK)を保有(1日あたり平均10LSK以上)するユーザーを対象に、保有額に応じて定期的にリスク(LSK)を報酬として付与するサービスです。ユーザーが直接DPoSに参加するわけではありませんが、ステーキングの仕組みを利用して、ユーザーの保有するリスク(LSK)をコインチェックが口座内で預かる形で保管し、コインチェックがその保有量に応じた投票権を行使します。投票によりコインチェックがブロック生成報酬を獲得した場合は、ユーザーから預かっているリスク(LSK)の額に応じて報酬が分配される仕組みです。サービスは現在、ベータ版として運用されています。

 

このように、ステーキングやPoSの仕組みには、暗号資産サービスの新しい形の可能性を秘めています。今後、より多くの投資サービスが誕生するのではないでしょうか。